第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
国家賠償法1条の性質をどう考えるか?
国がどうして責任を持つのか?
その1条責任の論点に対して、元々公務員の責任であるとする代位責任説(一般的)と元々国の責任であるとする自己責任説があります。
代位責任説では過失を犯した公務員の責任であるということで、それを国が肩代わりすることで被害者の救済をします。
自衛隊や警察官が誤って国民に被害を与えてしまったら、その公務員の責任を国が代わって責任をとるということです。
公務員の職務上の過失を公務員自身に求めると、責任を負うことを公務員が敬遠する事なかれ主義が増える。
公務員個人の財産に限度があり現実的でない。
などの理由があります。
ただ被害者の立場からは、公務員の責任能力や認識によって補償などに大きく差が出ることで不公平ではないかとの声もあるそうです。
そこで自己責任説という元々国の責任であるという考え方も少数ですがあります。
公務員の故意過失を組織的な問題として扱うことで、被害者には同じ補償を行えます。
国の手足として動いている公務員の過失責任を国の責任であるということで被害者を同等に救済しようという考え方です。
判例にも過失の性質などいろいろな論点があります。
法律を勉強していると同じ事柄に対しても違う見解が常にあるということを認識できるように思います。
