本日の賢島大学は、フォーラム形式で4人の方の基調講演と聴講生とのディスカッションがありました。
トップバッターは、4年前に環境省自然保護管として志摩に赴任されて志摩に住むようになった伊勢志摩研究所の下川元三(げんぞう)さんの「里海」について話をしてくれました。
「里海」の定義として、“皆で沿岸環境を賢く利用すること”であり、その前提として
・将来にわたって利用し続けられること
・生物の多様性を維持できること
が大切であると持論を話されました。
1946年伊勢志摩国立公園が制定されましたが、志摩市や鳥羽市のように市の全域が国立公園というのは、全国的にも珍しいのだそうです。
英虞湾(あごわん)の環境は年々悪くなっており、そのことにより志摩市民の生活を崩壊させる危険さえはらんでいることを漁業や真珠など直接海にかかわる人以外も関心を持ってもらいたいと思いました。
志摩市役所水産課のうらなか係長は、英虞湾(あごわん)が海の生物を育てる力がなくなっていることで、取れる魚も減っている現状を話されました。
2005年の国勢調査で志摩市の65歳以上の人口は28%、一人あたりの所得額も247万円で三重県29市町村中26位と貧しい地域なのですが、今年の国勢調査では30%を超え、人口も5万人を切るだろうと予測されます。
志摩市では大口市長、行政スタッフを中心に、「稼げる、学べる、遊べる里海づくり」を進めることで志摩ブランドを定着させようという方針で進めているそうです。
英虞湾環境教育研究会の中井義久さんは、10年ほど前から立神小学校で総合学習の一環として「真珠の先生」として教壇に立たれてます。
地元の子供たちに真珠の海に生きる喜びを感じてほしいとの思いで、顕微鏡でプランクトンを見せたり、カキの種付け体験、真珠の養殖(核入れ含む)体験を通じて、自分の真珠から男の子はタイピン、女の子はブローチを卒業式につけるのだそうです。
賢島大学の西尾事務局長(元立神小学校校長)が、将来、子供たちは立神(たてがみ)を出ていく。
都会に出て仕事をして挫折することもあるだろう。
その時に故郷が好き、立神(たてがみ)が好きという思い出があれば、こちらに戻る人もあるだろう。
その思い出作りの一つであるとのコメントがありました。
半田俊彦さん(志摩半島野生動物研究会)は、「英虞湾周辺にどんな生き物が住んでいるのか」を話してくれました。
保護や再生のためにはまず現状を知ることが大切です。
なくなった自然、なくなったようで残っている自然の現実を知ることで理想的な未来を語るきっかけになれるという気づきをもらいました。
若い聴講生の方が、どういう志摩を残したいのか?
子供たちにどういう風に育てたいのか?
どうしたら楽しく住めるか?
地域のビジョンや夢を語り合うことから始めることが大事だと言われた言葉に、自分の失いかけていたものを拾ってもらえたようなうれしい気持ちになりました。
志摩市には優秀な方がたくさんいるのだといつも自分の不勉強が身にしみます。
2010年08月19日
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