3日前よりワンダーグーで購入した太宰治の「人間失格」(PHP文庫)を読んでます。
“恥の多い人生を送ってきました”で始まる主人公の葉蔵(ようぞう)は、議員をしている父を持ち、まかないなどをかかえる経済的には恵まれた家庭で育ちます。
ところが、葉蔵の心の中はいつも不安との闘いであり、親や周囲の人、他人とどのようにつきあっていけばよいのかわからない苦しみに苛まれます。
その中で葉蔵が他人に対する極度な怖れを解消する手段として「道化(どうけ 人を笑わせるようなこっけいな身振り、言葉)」で人を笑わせるようになります。
道化は家族、学校など周囲の人々から自分を守るための手段となり、うまくなればなるほど自分の本音を一言も言わない、みかけだけよい子供になってしまいます。
そんな葉蔵ですがその後も学校の成績はよく、先生からも「道化」を楽しみにされるほどになります。
そんな自分の素直な気持ちを誰にも訴えない孤独のにおいが、多くの女性に本能によってかぎあてられ、後年つけこまれる誘因になったと述懐しています。
(P42 第一の手記まで)
2010年02月19日
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