2009年09月20日

なぜ正直者は得をするのか 藤井聡著 幻冬舎新書 ☆☆☆☆

 著者は京都大学院工学研究科教授で「土木計画および公共政策のための心理学」を専門とされている方です。

 
正直者がバカを見る例として、中世イギリスの「コモンズ」とよばれる共有地の羊飼いとタクシー自由化による運転手を例に出してます。

 産業革命以前、羊飼いはコモンズと呼ばれる共有の牧草地で羊を放ち、飼育することを生業(なりわい)としてきました。

彼らは代々羊を過剰に増やしたり、牧草を過剰に消費したりすることもなく何世代も安定した暮らしを送ってきました。

 産業革命以後「利己主義者の羊飼い」が現れ、羊を増やせば増やすほど自分の利益が増えることに気づきます。

それを見た一部の羊飼いも、それによって利益を上がる構造に気づき、羊を増やしていきます。

羊の数が増えてくると、牧草が不足し、一匹の羊から得られる利益も大きく減ってしまいました。

大多数の「正直者」の羊飼いは、大きな打撃を受け生活ができなくなります。



 現代では「タクシー市場」がそれに似ています。

タクシー市場というのはほぼ一定の需要を共有する構造になってました。

タクシー業界の経営者も車を増やすことなくやってきました。

 ところが、構造改革の波をもろに受け、「自由化」が進められたのでした。

それまではタクシー需要を勘案して、地域ごとに台数が割り振られていたのですが、自由化の波を受けて一部の経営者が利益増進をもくろみ台数を大幅に増加させます。

当然、競争が激化させ、長時間勤務を助長させ、タクシー運転手の生活と健康をむしばんでいます。

 おとといの夜8時過ぎに80cofeから鵜方駅前のタクシー乗り場を見ると、お客を待つ車がずっと並んでいました。

 一人勝ちした一部の利己主義者は得をしたように見えますが、実はこれから最も損をします。

「約束を破る」「裏切り」「拝金主義」「自己中心」が長続きしない理由が心理学的な手法から示してくれてます。

どんな性格の人が幸せになり、得をするのかは、企業も個人の人間関係も同じなのだと思いました。


なぜ正直者は得をするのか  藤井聡 著
posted by さっとん at 18:38| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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