志摩市教育委員会が主催の「人権講座」の最終回(4回)は、「財団法人 反差別・人権研究所みえ」主任研究員の松村智広(さとひろ)さんでした。
同和問題と言うと暗い、こわい、つらい話なのかとの先入観もありました。
ところが、話は吉本のしゃべくり漫才のような軽快なテンポで、多くの女性を爆笑の渦に巻き込んでいきました。
「差別を笑いで吹き飛ばす」とてもユーモアセンスもあるおそるべしおっさんですが、部落出身であると言うことで筆舌に尽くし難い経験をされてきた方です。
一昔前は学校の先生も部落出身者ということで「お前は学校にこんでもええ」とか言われました。
結婚などでは相手方が部落出身者でないか、血統、遺伝病の人はいないかなど興信所で調べて、親や親戚が反対するというのはいまだに日常茶飯事のようです。
出身を隠し続ける恐怖と悔しさなども松村さんの実体験を話してくれました。
その松村さんも「差別」によって学校へ行くこともできなかった自分のおばあちゃんやおじいさんに「おまえら字も書けえへんで情けないのう」「あほ」「ぼけ」とか言った冷たい言葉を浴びせてきました。
社会の差別と貧困で教育を受ける機会を失ってしまってたことを無視して自分も親を差別をしてたことで、一生その罪を自分は背負っていかなければならないと話されてました。
僕の子供時代に“ふじさん”といういつも町を歩いている少し足が不自由なおじさんがいました。
町長が誰かしらなくても“ふじさん”と言えば子供から大人まで知っているほど有名人でした。
結構人なつっこいおじさんですが、字はかけず子供からもバカにされたり、かまわれてました。
僕もその一員になったこともあります。
この講演を聞いていて“ふじさん”に申し訳ないという気持ちが不思議とわきあがってきました。
差別意識は差別する人間も不幸にしますが、いまどき差別する人はかっこわるいという意識が大きくなっていってほしいものです。
だまってられへん! 松村智広 著
2009年07月11日

検索